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特集 特殊な輸血とその現況
血小板輸血
著者: 安永幸二郎1
所属機関: 1京都大学医学部内科第一講座
ページ範囲:P.53 - P.62
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血小板減少性出血は出血性素因の中で最も遭遇する機会の多いものであり,しかもその多くは原因的治療が困難であり,出血はしばしば致命的ともなるために,その止血対策は治療上極めて重要な課題となるのである.止血剤としては副腎皮質ホルモンを始め,多くの製剤が用いられるが,残念ながら確実に止血効果を期待できるものはないといつてよく,結局ナマの(viable)血小板を補給することが現在のところ最良の止血法である.血小板輸血の試みは欧米では1952年頃からなされており23)27)42)45),初めは真性多血症患者の血液ないし,血漿が用いられたが,次で正常血液より血小板が濃縮して用いられるようになつて,今日ではかなり普及するに至つているが1)8)10)12)13)16)48)51)56),わが国ではその要望はあつても,血液入手の困難性その他の問題もあつてなお十分の普及がみられない実状である.以下少数例ながらわれわれの経験をもとにその方法,効果,意義等に関して述べたいと思う.
血小板減少性出血は出血性素因の中で最も遭遇する機会の多いものであり,しかもその多くは原因的治療が困難であり,出血はしばしば致命的ともなるために,その止血対策は治療上極めて重要な課題となるのである.止血剤としては副腎皮質ホルモンを始め,多くの製剤が用いられるが,残念ながら確実に止血効果を期待できるものはないといつてよく,結局ナマの(viable)血小板を補給することが現在のところ最良の止血法である.血小板輸血の試みは欧米では1952年頃からなされており23)27)42)45),初めは真性多血症患者の血液ないし,血漿が用いられたが,次で正常血液より血小板が濃縮して用いられるようになつて,今日ではかなり普及するに至つているが1)8)10)12)13)16)48)51)56),わが国ではその要望はあつても,血液入手の困難性その他の問題もあつてなお十分の普及がみられない実状である.以下少数例ながらわれわれの経験をもとにその方法,効果,意義等に関して述べたいと思う.
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