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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻1号

1970年01月発行

特集 特殊な輸血とその現況

Cryoprecipitate

著者: 安部英1 若林邦夫2 吉田朔也3 池森亨介4

所属機関: 1東京大学医学部吉利内科教室 2東京大学医学部石川外科教室 3東京大学医学部口腔外科教室 4東京大学医学部物療内科教室

ページ範囲:P.65 - P.72

文献概要

はじめに
 凝血障害を基因とする出血性疾患のなかで凝血因子を先天的に欠如するものに対しては,蛋白質あるいはそれの代用物質の人工的な合成が未だ不可能な現在にあつては,やはり輸血あるいは輸血漿など血液そのものを患者の血中に注入する方法で,最も確実かつ迅速な効果をあげることができる.このような先天性凝血障害のなかでも血友病は,その患者数が多く,障害の程度も強くて,しかも最近は出血の予防ないし治療法が進歩したため,患者の高年生存者数が増して医療の対象となる機会もとみに増加してきた.またこの血友病もその欠如する凝血因子の種類により,血友病A(第Ⅷ因子欠乏症)と血友病B(第Ⅸ因子欠乏症)とに分けられるが,その比は大体4:1ないし5:1といわれ,血友病Aに対する出血管理の重要性がましてこの凝血第Ⅷ因子(antihemophilic globu-lin:AHG)の補給が治療の中心となつてきた.たしかにこの因子は正常血液中には十分含まれているので,全血または血漿を輸注すれば,補給ができるのであるが,正常血液中に含まれる濃度を100%としても,その量には限界があるので,もしこの因子を全く含まない患者に輸血してその血中濃度を正常血液の20%程度に上げようとすると,少なくとも患者が固有にもつている循環血液の4分の1量の正常血液を輸注しなければならないこととなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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