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文献概要
特集 熱傷の早期治療 各論
化学熱修
著者: 赤沢喜三郎1 寺島浩然1
所属機関: 1江東病院外科
ページ範囲:P.1531 - P.1534
文献購入ページに移動はじめに
近年,産業の発達とともに工場,家庭内で種々の化学薬品,可燃性物質などが取扱われるようになりこの種の事故が多くなつてきている.化学熱傷をひきおこす物質は酸,アルカリ,重金属および戦争中に使われる毒ガスなどがある.これらの薬剤は局所に作用し組織に対してその特異性を示して損傷を与えるが,時には吸収されて中枢神経系,心,肺,腎などに障害を及ぼすことがある.しかし臨床上一般熱傷と同様に広範囲に受傷した場合には全身療法が必要であり,また局所所見においても発赤,水疱形成,壊死のごとく変化し根本的には熱傷と全く同様の治療をおこなつている.この化学熱傷という語も局所に発赤のみを有していわゆる接触性皮膚炎の所見をしめすものを考えると不適当な表現ではあるが,多くの場合,皮膚に対して化学反応と同時に熱作用も加わり組織に変化を与えているためわれわれは化学熱傷と称している.本稿では,化学熱傷の特性,治療法を症例をあげて述べる.
近年,産業の発達とともに工場,家庭内で種々の化学薬品,可燃性物質などが取扱われるようになりこの種の事故が多くなつてきている.化学熱傷をひきおこす物質は酸,アルカリ,重金属および戦争中に使われる毒ガスなどがある.これらの薬剤は局所に作用し組織に対してその特異性を示して損傷を与えるが,時には吸収されて中枢神経系,心,肺,腎などに障害を及ぼすことがある.しかし臨床上一般熱傷と同様に広範囲に受傷した場合には全身療法が必要であり,また局所所見においても発赤,水疱形成,壊死のごとく変化し根本的には熱傷と全く同様の治療をおこなつている.この化学熱傷という語も局所に発赤のみを有していわゆる接触性皮膚炎の所見をしめすものを考えると不適当な表現ではあるが,多くの場合,皮膚に対して化学反応と同時に熱作用も加わり組織に変化を与えているためわれわれは化学熱傷と称している.本稿では,化学熱傷の特性,治療法を症例をあげて述べる.
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