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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻11号

1970年11月発行

論説

循環冷却低体温による循環停止下心手術

著者: 藤倉一朗1 和田汪1 安西信行1 川瀬光彦1 岡田忠彦1

所属機関: 1東京女子医科大学心臓血圧研究所

ページ範囲:P.1733 - P.1737

文献概要

 表面冷却による低体温法による循環停止下心内手術はBigelow1,2)Swan3らの研究に始まり,本邦でも榊原4),岡村ら5)の実験的,臨床的な豊富な報告がある.体外循環による急速冷却低体温法により循環停止を行ない,心臓手術をする方法はGollan6)に始まり、Brock7),Ross,8)Brown9)により広く紹介された.人工肺を用いないDrew10)の両心バイパス法も,体外循環を用いた急速冷却低体温の一法であるが,これに対して,Ncgre11),Kirklin12),Björk13)などが追試し,種々な合併症の問題もあり,普及をみなかつた.これは,体外循環による急速冷却低体温法では,表面冷却とくらべて,各臓器の均一な温度低下をきたすことがむずかしく,したがつて指標とする温度と,循環停止許容時間との関係が,なお明確でないことに関係があろうと考えられる.この循環冷却低体温法にほぼ近い方法で,私たらは乳幼児開心術に,表面冷却も併用して行なつて来たが14),これと異なり、まつたく循環冷却のみで,脱血温を20〜25℃の低体温とし,血行停止して,心内手術を行なう方法を,副側血行の多いファロー氏四徴症,肺動脈が動脈瘤化した動脈管開存症などに応用しているので,これらの症例をあげ,実際の方法についてのべ,体外循環における急速冷却,低体温などに関して検討をこころみることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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