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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻2号

1970年02月発行

文献概要

特集 手術と出血対策Ⅰ

大血管の出血対策—破裂性動脈瘤について

著者: 和田達雄1 本橋久孝1

所属機関: 1横浜市立大学医学部第1外科

ページ範囲:P.237 - P.239

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はじめに
 外傷や手術操作による大血管の損傷や破裂性動脈瘤の場合を除いて,大血管から出血のおこる疾患は非常に稀である.正常な血管壁の中膜弾性線維はあらゆる病変に対してきわめて抵抗性の強いものと考えられ,血管周囲の病変が血管壁に波及しても,これが破壊され,その結果血管壁が破れてしまうということは少ない.たとえば悪性腫瘍細胞の浸潤が大血管の壁に強く及んでいたり,膿瘍のなかに大血管が含まれていて強い炎症が血管壁をおかしていても,正常な血管壁が破裂したり,動脈瘤が形成されたりすることはあまり経験されない.
 筆者自身の経験では,膵臓壊死に開腹誘導を行なつた術後に膵液によつて腹腔動脈がおかされて大出血がおこつた例,甲状腺癌再発例に照射療法をくりかえしたために生じた放射線潰瘍が頸動脈をおかして出血死亡した例,などの二,三の症例に遭遇しているにすぎない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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