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特集 心臓と血管の外科 論説と症例
Leriche syndromeに対する血行再建術
著者: 田辺達三1 川上敏晃1 高木正光1 横田旻1 田村正秀1 町田荘一郎1 清田典宏1 山田隆1
所属機関: 1北海道大学医学部第二外科
ページ範囲:P.537 - P.543
文献購入ページに移動Leriche症候群は腹部大動脈分岐部から両側の総腸骨動脈にかけて慢性の狭窄,閉塞をきたし,両下肢および内腸骨動脈領域に循環障害を示すものである.Leriche(1940年)の当初の記載では比較的若い男子において,腰,臀,大腿部などの鈍痛,倦怠感,筋萎縮が両側にみられ,間歇性跛行,下肢の蒼白化,脈搏の欠如,勃起不能などを主徴するもので,下肢末梢部の栄養障害が少なく,原因として動脈炎があげられている.しかし今日では症例の累積とともに,閉塞の状態によつて症状に変異があり,原因も動脈硬化によるものが多いと考えられ,慢性,両側性の腹部大動脈分岐部狭窄,閉塞をすべてLeriche症候群と呼んでいる.
本症候群の報告は本邦ではいまだ少ないが,われわれは本症の3例を経験し,その血行再建術を行なつているので,その外科的治療を中心に,文献的考察を加え報告する.
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