icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻5号

1970年05月発行

文献概要

特集 外科領域における感染症

細菌性ショックの臨床

著者: 玉熊正悦1 中野春雄1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.633 - P.640

文献購入ページに移動
はじめに
 穿孔性腹膜炎や術後縫合不全,敗血症など外科領域で遭遇する重篤な感染症患者が,経過中にしばしば治療の困難なショック状態に陥ることはすでに前世紀末から指摘されていた1)2).このいわゆる細菌性ショックと総称される病態が最近欧米はもとよりわが国でも急速に注目されてきたのは,外傷や出血性ショックの治療法が今日著しく進歩した反面,この細菌性ショックの治療成績は極めて悪く最近50年間でほとんどその死亡率が減少していないといわれ,早期診断や適切な対策の確立が望まれているゆえんであろう3-5).また抗生物質の発達にもかかわらず敗血症の頻度やそれによる死亡率も予期した程に減少してはおらずむしろ後にのべるような細菌性ショックを誘発し易い耐性菌を増加させていること3)6-8),一方で気管切開,補助呼吸,各種Catheterizationや交換輸血など一連の現代医学における複雑な診断,治療手技からくる病院内でのいわゆるIatrogenicな感染機会も増していること3),などが指摘されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?