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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻5号

1970年05月発行

文献概要

特集 外科領域における感染症

消化管の感染症—予防と対策

著者: 斉藤淏1 鈴木和徳1 掛川功一1 岸本幸治1 土屋喜哉1

所属機関: 1日本医科大学外科

ページ範囲:P.667 - P.673

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はじめに
 消化管では,その全長にわたつて常住する腸内細菌による感染症が発生するほかに,外来細菌の侵入による発症の危険に曝されている.また消化管の一局部の炎症性疾患でも,原発性と続発性とに分類される.続発性感染症の発生にも血行性あるいはリンパ行性感染が考えられるが,消化管周囲の炎症巣からの波及によるものと,もともと非炎症性疾患ではあるが,消化管内腔からの細菌の侵入によるものとが考えられる.このように消化管の感染症には,原発性疾患のほかに,非細菌性疾患に細菌が侵入しているものにまで視野を広げて考えなくてはならぬことは一つの特色であろう.さらにそれらに手術を行なう立場にたつてみると,あらためて細菌に対する関心を深くするのである.消化管の感染症について,その発生原因や経過を広く眺めるとき,つねに腹膜炎併発の危険が影のごとく実在すると考えなくてはならない.そこで,その消化管感染症の発生の予防や対策となると,諸方面にわたりはなはだ複雑かつ困難な問題であるが,その基礎疾患のいかんを問わず,腹膜炎併発の防止こそ最も重要な問題となる。いずれにしても他部の感染症と同じく,早期診断の進歩と,抗生物質の出現とによつて治療成績は向上したが,ことに抗生物質の早期使用によつて各部疾患の症状にも著しい変容がもたらされ,従来の教科書的記録では了解し難い場合もできてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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