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グラフ論説
脳神経外科領域へのMicrosurgical Techniqueの応用
著者: 千ケ崎裕夫12 菊池晴彦13
所属機関: 1Zürich大学病院脳神経外科 2現在 順天堂大学医学部脳神経外科 3現在 天理病院脳神経外科
ページ範囲:P.687 - P.696
文献購入ページに移動手術用双眼顕微鏡(The operating binocular microscope)が医学領域に利用されるようになつたのは,かなり以前のことで特に目新しいことではない.血管の乏しい,ほとんど術中に出血しない器官,たとえば耳鼻科領域の中耳,内耳の手術(Holmgren 19255),Shambaugh 194214)や眼科領域の角膜,レンズの手術(Peritt 195014), Bar-raquer 19561)のさい,細かい仕事にはこの顕微鏡は偉大な威力を発揮する.従つて,今日耳鼻科,眼科のいくつかの古典的な手術はこれを使うことが必須といつてよく,これなしには不可能といつてもよい.また一方,小血管の手術が盛んに試みられた頃,種々の血管縫合器の開発にもかかわらず,いぜん外科医の手縫いが重用され,しかも1mm以下の血管は手縫い以外には不可能といわれ,したがつて1960年,Jacobson7)がこのbi-nocular microscopeを利用することを発表して以来,micro-vascular surgeryのための器具や縫合糸の改良と相い俟つて,技術的にこの方面においてかなりの進歩をもたらした.
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