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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻6号

1970年06月発行

症例

脳圧下降剤投与により誘発された急性硬膜外血腫

著者: 早川勲1 益沢秀明2

所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科 2東京大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.873 - P.877

文献概要

 社会情勢の変化に伴なつた頭部外傷の増加は一般の脳神経外科への関心を昂めると同時に,一般外科医がその治療に直面する機会を著るしく多くした.頭部外傷急性期の治療にさいして,まず問題とされるのは適切な初期治療で良好な予後の得られる急性頭蓋内血腫であるが,それと共に治療の根底概念として忘れられないものに脳浮腫の問題がある.脳浮腫の概念も最近では脳神経外科医の間だけにとどまらず,広く一般に普及した感がある.そして,脳浮腫に対する原因療法としてのステロイド投与法も1)2),すでに常識化されたとみることが出来るが,一方でその対症療法ともいうべき高張溶液による脱水療法も盛んに行なわれている.
 そもそも,ステロイド投与による脳浮腫治療法が確立するまでは,高張溶液の静脈内投与による脱水療法は頭蓋内圧亢進治療の主流をなしていた.特に,尿素3)の著るしい頭蓋内圧下降作用が知られて以来,脳手術後,あるいは脳外傷に対してその使用はなかば常識化された感があつた.尿素に引き続いて,さらに好ましい脳圧下降剤としてマンニットール4)5)が開発され,その臨床経験はこのものをより使い易くしている.現在,脳浮腫治療の根幹は,ステロイドと高張溶液,特にマンニットールであるということができる.しかし,ここで注意すべきことがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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