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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻7号

1970年07月発行

文献概要

特集 腫瘍の病理と臨床 外科の焦点

Cryosurgeryの外科臨床への応用—ことに各種腫瘍の破壊について

著者: 田中茂男1 永田丕1

所属機関: 1北信総合病院外科

ページ範囲:P.919 - P.927

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はじめに
 生体組織にfreezing injuryを加えると,組織は一定の条件で壊死に陥る(cryonecrosis).Cryosurgeryはこの原理を外科的治療に応用したものであるが,腫瘍の治療に局所のfreezingを行なつた記録は古く,Meryman1)の綜説によれば,Arnott(1851)が氷と食塩の混合物(−20℃)を用いて進行した子宮頸癌や乳癌の疼痛の軽減,止血に試みたのが最初といわれている.しかし,この局所超冷凍が腫瘍の治療手段のひとつとして再認識され,cryosurgery(超冷凍外科)として近代化をみたのは近年のことであつて,液体窒素を用いる精巧な装置が開発され,ごく限局した病巣の凍結・破壊が可能となり,Cooper2)がこれを脳外科でParkinson氏病の治療に,basal gangliaの破壊に用いてからである.以来,数種の冷却剤を用いる装置およびprobeが開発され,脳外科をはじめ耳鼻科,眼科,婦人科,皮膚,泌尿器科などの一部の領域で臨床的にもいくらか普及をみるようになった.一般外科領域では,Cooper3)4)やCahan5)6)らが各種腫瘍の破壊に用いてから,その応用範囲をひろげる努力がなされているようであるが,報告はまだ多くを数えず,その評価もまちまちのようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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