文献詳細
特集 腫瘍の病理と臨床
論説と症例
肺癌手術後,長期生存例について
著者: 片岡一朗1 堀江伸2 加藤恒康1 桜井凱彦1 野口達也1 矢部熹憲1 和田輝洋1 中条能正1 野口真吾1 橋上保二3 矢田一3
所属機関: 1日本医科大学第一外科教室 2日本医科大学第二外科教室 3国立福島療養所外科
ページ範囲:P.969 - P.975
文献概要
最近,肺癌手術後の長期生存率は著しく向上して,欧米における諸家の報告では,1950〜1960年代における5年生存率は20〜30%である.わが国における肺癌手術後5年生存率は1963年河合は全国統計を示し,7.9%といい,1965年鈴木は全国12施設の調査で,肺癌切除546例のうち89例が5年以上生存し,19.6%の生存率を示し,昭和30年頃に比べ,ここ数年間に著しい進歩を示し,欧米の水準に近づいている.これは肺癌の診断法,手術適応の選定,手術手技の進歩および手術前後における放射線療法,化学療法併用などの補助療法が好影響を与えているものと老えられる.
肺癌手術後の長期生存率についての検討には多くの報告がみられ,病理学的の面からは癌の組織型,周囲組織の浸潤,リンパ行性または血行性転移の有無,また臨床面からは術前後放射線療法,化学療法の併用などについて検討されているが,まだ決定的な要因はみいだされていない.
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