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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻7号

1970年07月発行

特集 腫瘍の病理と臨床

論説と症例

甲状腺分化癌の未分化癌への移行について

著者: 原田種一1 西川義彦1 鈴木琢弥1 伊藤国彦1

所属機関: 1伊藤病院

ページ範囲:P.1105 - P.1110

文献概要

はじめに
 甲状腺癌は,組織学的に,分化癌と未分化癌の二つに大別することができるが,この両者の間には,臨床像の上からも,画然とした差が認められる.すなわち,分化癌は通常発育が緩慢であり,術後成績も極めて良好で,各種臓器に発生する癌の中でも,最も臨床的に悪性度の低いものの一つと考えられる.これに対し,未分化癌は迅速な発育を遂げ,医師を訪れたときは,すでに手術不能のことが多く,たとえ手術が可能であつても,その手術成績が極端に悪く,放射線治療により一時的に症状の改善が見られても,短期間のうちに大部分がCatastro—pheに陥る.
 しかし,甲状腺癌の中には,分化癌が未分化癌へ移行するもの,あるいは両者が混在するものがあり,臨床的にも興味ある経過をとることが多い.これらの症例については,Frantzら1)Crileら2)3), Frazellら4)Wychulisら5),藤本ら6)の報告があるが,われわれも組織学的に証明し得た分化癌の未分化癌への移行例を2例,混在例を1例経験したので報告し,同時に当院において死亡までの臨床経過を観察することのできた甲状腺癌の症例について,上記の症例と関連づけて検討し,甲状腺癌の臨床的経過とその死亡について考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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