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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻8号

1970年08月発行

文献概要

特集 縫合糸の問題点

縫合糸の放射線滅菌

著者: 佐藤健二1

所属機関: 1東京都立アイソトープ総合研究所生物部

ページ範囲:P.1199 - P.1203

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はじめに
 医療用具のデイスポーザブル化の発展とともに,手術用縫合糸の分野にもこの影響はあらわれ,針付の滅菌済製品の需要がたかまりつつある.このためもあつて,縫合糸類の滅菌に関する研究もさかんになり,従来の加熱法および,化学薬品を用いる方法の他に,最近ではわが国においても,各種医療用具の放射線による滅菌の実用化がさかんに検討されはじめ,縫合糸の滅菌にも,放射線を用いようという動きがみられる.
 海外におけるこの放射線滅菌法の動向についてみると,1953年に,アメリカのエチコン社において,腸線縫合糸の滅菌にはじめて用いられてから,ヨーロッパにおける研究もさかんになり,1960年に,ウオンテージ研究所,1962年に,ジョンソンズエチカル・プラスチック社というように,滅菌施設が作られ,現在では,冷滅菌法の代表的方法の一つとまでいわれるようになり,各国に施設(そのほとんどがコバルト−60r線照射施設)がもうけられ,デイスポーザブル医療用具全般にわたつて,多くの量が実際に滅菌されており,わが国においても,放射線滅菌ずみの輸入製品が目にふれることがある.本稿では,今後,わが国においても実用化の可能性がたかくなつてくると思われる放射線滅菌法の概要にふれ,縫合糸の滅菌への,本法の導入の可能性についてのべる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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