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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科25巻9号

1970年09月発行

雑誌目次

特集 術後早期の再手術

術後再手術のための術前準備,術中麻酔ならびに術後管理

著者: 砂田輝武 ,   佐々木澄治 ,   横田晃和 ,   平川方久

ページ範囲:P.1305 - P.1315

はじめに
 最近の外科的適応範囲の拡大は,術後早期の再手術の対象をも必然的に多岐化してはいるものの,一方,再手術自体による救命率も,新しい抗生剤の開発や,呼吸管理,輸液などを含めた一般術後管理の進歩によつて高められていることは否定できない.この結果から,われわれは,再手術自体を,ややもすると安易に考えがちであるが,再手術は,たとえそれが容易なものであつたとしても,その患者や家族に対しては,深刻な精神的肉体的打撃を与えるものである.また,再手術は,そのさまざまな病態から,豊富な知識と経験にもとずく速断力と高度な技術を要するものである.これらのことを念頭において,われわれは,手術,術後管理ひいては再手術にあたらねばならないと思う.
 術後合併症としてはいろいろなものがあげられるが,再手術の対象としては,術後出血および消化管の通過障害がもつとも多いもののようである.したがつて,本項ではこの2項目について重点的に述べていきたい.

脳神経外科における術後早期再手術

著者: 喜多村孝一

ページ範囲:P.1317 - P.1322

 脳神経外科領域の手術後にも,他の部位の手術の場合と同様に,再手術を必要とすることが少なくない.再手術は,一般には,前の手術が不適当であつたり,技術的に不備であつたために,これを補うために行なわれるものであつて,いわば外科医にとつては不名誉なものとされがちである.しかしながら,再手術は必ずしもそのようなものばかりではない.いかに注意深い手術を行ない,また手術自体には何の落度がなくても,再手術を避けられない場合もある.とくに開頭手術後にはこのような避けることのできない再手術が少なくない.
 脳神経外科医は,再開頭を不名誉なことと考えたり,必要な場合もできるだけこれを避けようとし,再開頭の時機は夫して患者を死に到らしめるようなことがあつてはならない.もちろん再開頭術の適応決定には十分慎重でなくてはならないが,一旦再開頭が必要であることが決定したならば,時を移さず直ちに再手術にふみ切らねばならない.

甲状腺手術と再手術

著者: 牧内正夫 ,   降旗力男 ,   菅谷晴彦 ,   渡辺豊昭

ページ範囲:P.1327 - P.1332

はじめに
 甲状腺疾患のうち外科的治療が適応となるものには,悪性甲状腺腫,単純性結節性甲状腺腫,ならびに甲状腺機能亢進症がある.また慢性甲状腺炎でも,甲状腺腫が大きく,圧迫症状がある場合には外科的治療の適応となる.これら疾患の標準的手術々式は第1表に示すごとくで,良性の単純性結節性甲状腺腫に行なわれる核出(enucleation)は手術侵襲がもつとも少なく,術後合併症はほとんどみられない.これに対し悪性甲状腺腫や甲状腺機能亢進症に対する手術は侵襲が大きいので,種々の合併症をおこす危険性がある.
 甲状腺の手術のみならず,どのような疾患でも手術を行なう場合には術後合併症を全くなくすことはできないが,これが対策としては当然のことながら初回手術を適切に行なうことである.

肺手術と再開胸

著者: 片岡一朗 ,   三樹勝 ,   田村聖 ,   鈴木和徳 ,   桜井凱彦

ページ範囲:P.1333 - P.1339

まえがき
 近時,肺切除術は胸部外科の著しい進歩により,きわめて普遍的に行なわれている術式となつて,その成績はほぼ満足すべき域に到達している.かく普及した術式においても,ときに些細な手術操作のミスにより致命的な危険性を招来することがあり,また思わざる偶発事故の因ともなるので,胸腔内の解剖学的関係を充分に理解して,手術を行なうべきで,肺切除後の再開胸の原因としては術後出血,胸腔内血腫形成などが挙げられる.一般に早期再開胸の原因としては手術操作のミスによると思われることが多いので,平易な手術手技においても注意深く,手術操作を進めるべきである.
 肺切除は開胸,胸腔内操作と,手術時間は長くなり,組織損傷は広汎にわたるため,したがつて出血量は多くなつて,患者への侵襲は大きく,そのうえ術後出血,緊急再開胸となると,患者に与える心理的影響も強く,手術者としては再開胸の適応,その手術時期の決定には一層の勇気をもつて決断する要がある.したがつて手術前には出血傾向の存否を調査し,その予防対策を講じたうえで,手術には再開胸を招来しない確実な手術が行なわれなければならない.

心臓外科における術後早期再手術について

著者: 浅野献一 ,   松川哲之助

ページ範囲:P.1341 - P.1345

 心臓外科における術後早期再手術の適応は一般的に術後出血に対するものと,手術目的が達成されなかつたために発生するlow output syndromeに対するものが主であるといえよう.以下私共の経験をまじえて再手術について記述する.

胃十二指腸手術後の早期再手術

著者: 佐藤博 ,   磯野可一

ページ範囲:P.1347 - P.1351

 われわれ外科医にとつて,術後の再手術はその原因が患者側にある場合もあるであろうが,その大部分は医者側に責任のある場合が多いので,決して好ましいものではない.
 再手術を行なうに当つては,かなりの勇気と明晰なる判断か必要であり,その時期と決断によつて,患者の生死が多く左右されるものである.従つて,立派な外科医は手術が上手であるということだけでなく,合併症に対する適切なる処置が行なえる人でなければならない.

小腸,虫垂手術の場合

著者: 斉藤淏 ,   鈴木和徳 ,   馬越正道 ,   田中茂夫

ページ範囲:P.1353 - P.1360

 開腹術後の早期における腹壁の哆開に関しては論外とするが,出血,腹膜炎,イレウスの併発に関しては再開腹に係わる重要な問題である.その発生が問題になると,まことに息づまる情景が展開し,とくに術者がご自分であつた場合には,緊迫感と焦燥感のうちにいいしれない孤独感にさえおそわれることが多い.しかし一応事が解決し時がたつに従つてその悪夢に似た記憶も速かに薄らいでゆく傾きが強い.再開腹が絶無とは考えられない今日ではやはりその都度,その時によく考えよく反省することを習慣にしておきたいものである.
 小腸や虫垂の手術は多い,その割合に早期の再開腹は少ないように思なつているが,これも貧しい記憶力のせいかも知れない.著者等の全開腹例についても詳細に調査すべきであつたが不勉強を許されたい.しかし術後イレウスの最近5年間186例中では術後10日以内の早期発症例は48例(25.8%)で,その21例は開腹されている.すなわちその初回手術は他院で行なわれたものも含まれているが,術後イレウス併発のために早期に再開腹された症例は43.8%の高率となつている.虫乖手術は数も多いし,その後の再開腹例は,とくに最近では低率となつていると思うが,つねに軽視していてはならぬことはいうまでもない.

大腸および直腸における再手術

著者: 卜部美代志 ,   山本恵一

ページ範囲:P.1361 - P.1369

いとぐち
 大腸,および,直腸などにおける複雑な外科操作にあたつて,優れた最終成績をあげるためには再手術を必要とすることがある.しかし,この場合行なわれる再手術は主として,合併症に対してのものが多い.大腸,および,直腸の外科的操作に伴なう合併症はよく知られているので,それを理解した上で,多くの再手術操作は種々なる場合に応じて積極的に企てられなければならない.ここに,大腸,および,直腸における二次的修正操作のすべてを論ずるには紙数が許さないので,今回は,もつとも重要なことについてのみ記述したい.

痔核・痔瘻・肛門の再手術

著者: 吉雄敏文 ,   柳田謙蔵

ページ範囲:P.1371 - P.1375

 再手術というものは患者に対してはもちろん外科医にとつても非常に嫌なものであり,とくに術後早期の再手術には初回手術の不完全,不適正が関与しているのが大部分であるために術者には大きな心理的負担となる.しかし保存的治療の限界を越えて,再手術の適応と診断されたならば敢然と再びメスをとるべきはいうまでもない.
 痔核,痔瘻など肛門に対する手術は何といつてもminor surgeryであり,手術侵襲も小さく手技も一般には甚だしく難しいものは少ない.ゆえにこれらに対する初回手術で肛門管の解剖生理を充分理解して適正な手術が行なわれていれば,術後早期の再手術はまず避けられるべきものであり,また再手術を要するということは外科医として恥ずべきことであろう.しかし簡単な小手術ではあるが,肛門疾患の頻度が高いゆえに手術対象となる頻度も多く,沢山の手術が行なわれる中には思わぬ失敗が生じることもあるだろう.また簡単であるために未熟な外科医がこれを行なつて良くない結果を生むということも充分考えられる.

肝・胆道・膵系手術と再手術

著者: 菅原克彦 ,   小暮洋暉 ,   黒田慧

ページ範囲:P.1377 - P.1384

はじめに
 肝,胆道,膵疾患で外科的治療を行ない,術後早期に再手術を行なわざるを得ない症例は多くの場合,かなり重篤で生命の危険があることが多い.この不慮の再手術をさけるためには適正な術前の治療,臓器特異性に基づいた病態生理の理解,正確な診断,手術適応の決定,精細な手術手技,局所解剖的知識,手術熟練を要する.再手術後円滑に経過せしめるためには手術操作に関連した合併症を術後早期に発見することのほか,全身状態を正確に評価しどの程度の侵襲に耐えられるか,どの程度の修復が可能かを判断し,早急に対策をたてることが肝要である.各臓器における特殊性があるのでおのおのについて,1964年1月より1969年12月までの自験例を中心に考察したい.なお全身状態の改善やその評価については割愛する.

ヘルニアの術後早期合併症と対策

著者: 志村秀彦

ページ範囲:P.1385 - P.1389

はじめに
 ヘルニアの手術は,形成外科の部類に入るのであるから,出血や感染等の術後合併症を起こすと,しばしば手術の効果が全く失われるばかりでなく,時にはかえつて増悪する結果にもなりかねない.従つてヘルニア手術に当つては,術後のいかなる合併症も起こさないように細心の注意を払い,一期的な治癒を期待すべきである.しかし,もし不幸にして手術効果を失せるような,または手術に付随した他の不測の合併症が起こつた場合には,その被害を最小限度に止めるよう,常にその対策を念頭におく必要がある.特に問題となる手術後に起こる外科的な合併症としては,感染,出血,創哆開,壊死,腸閉塞,腹膜炎,ヘルニア早期再発等の早期合併症と癒着障害や,ヘルニア晩期再発等である.本稿ではヘルニア術後の早期合併症と対策を中心として概説したい.

泌尿器科手術と緊急再手術

著者: 井上武夫 ,   平野昭彦

ページ範囲:P.1391 - P.1396

 編集者より,表題のテーマを頂いたが,勉強,経験共に不充分であるが,日頃発表したいと考えていた意見もあるので引受けた.私が最近5〜6年間に経験したり,あるいは友人,同僚から見聞した中から,手術はしたが,誤診,出血,尿瘻等で早々に再手術をしないと死または大変な事故になる症例を発表し分析する.文献の紹介以上に貴重なものであろう.外科医には実地に役立つことは少ないと思うが,知つていればまた何かの折にヒントになることもある.
 緊急再手術は主として出血,尿瘻に対するものである.多くは経験により防ぎ得るが,一方宿命に近いといえるものもある.がわれわれの任務は手術によつて人を助けることであるから,運命だ,宿命だといつてはいられない.再手術は術者にとつて誠に嫌なものであるが,患者にとつては,なおつらいことである.

整形外科領域の再手術

著者: 七川歓次

ページ範囲:P.1397 - P.1402

 整形外科の領域で,再手術を余儀なくされることは決して稀ではないが,たいてい"後期の再手術"であつて,"術後早期の再手術"は非常に少ない.その理由は,整形外科の手術が四肢の機能の保全や再建を目的としているので,再手術が必要と認めた場合でも,手術時期を遅らせ,術後早期の再手術をできるだけ避けるようにすることと,救命手術としての意味合いが非常に少ないということである.
 手術を早期にくり返すと,術後の線維化,癒着が強くなり,関節の機能が脅かされる.一方感染の可能性も多くなる.整形外科の手術では,内固定用の金属や関節用の金属その他の材料,移植骨,筋膜,皮膚片などを使うことが多いので,もし感染すれば,慢性骨髄炎の像とともに壊死,異物反応のため,創傷治癒が長びき,筋萎縮,関節の硬ばりが加わり,患者の社会復帰が著しくおくれる.金属材料などを除去しなければならなくなり,大きな骨缶損部を生じたりすれば,手術は令く失敗に帰し,患者の機能障害を術前より強めてしまう.

カラーグラフ

胃切除後の早期再手術—胃切除後7日目に発生した腹壁哆開・癒着性イレウス

著者: 斉藤淏

ページ範囲:P.1296 - P.1297

開腹術は多い.術後腸管癒着も多い.とくに開腹線後面における癒着は多い.この1例は,腹壁哆開と腸管癒着のために術後早期に再開腹された.両者のいずれがイレウス発生に主役を演じたかを考える前に,軽くあしらわれ勝な閉腹術との関連においてこそ,反省の意義が深い.

グラフ

走査電子顕微鏡による大腸粘膜の観察

著者: 緒方卓郎 ,   村田文雄

ページ範囲:P.1299 - P.1303

 近年走査電子顕微鏡の発達により,物体の表面の微細構造の観察が可能となつてきたが今回は,大腸粘膜の表面構造を観察した結果についてのべる.走査電子顕微鏡は物体の立体構造の観察が可能な点,高い分解能,深い焦点深度等の特長をもち,今度医学,生物学領域に広く応用されるものと期待される.

外国文献

狂犬病,他

ページ範囲:P.1405 - P.1405

 rabiesでmyocarditis合併というのはRoss(New Engl. J. Med. 266:1087, 1962)の1例報告あり,rabiesビールス直接の炎症と解された.英国では最近2例のrabies患者発生,Cheethamら(Lancet, 1:921,1970)が精査,2例にmyocarditisをみとめた.①39婦人パキスタンで犬に咬まれ本国帰還後,その犬が狂犬病死したというので,20日後,抗ワクチンを注射,18日治療で右脚・背部強直,顎関節脱臼,20日目にhy-drophobia,角膜反射亢進,発熱,心拍130で死.剖検はrabies特有であつたがmyocard,pericard,endocardに炎症あり,パラフィン標本ではビールスを螢光法で証明できない.②46インド人,在英3カ月,犬に咬まれて3カ月後に英国にきたというから潜伏期長く,antirabies vaccine 6日で症状でる.心拍140,血圧150/110から80/40に低下,23時間で死亡.脳変化はhippocampus,大脳皮質,小脳PurkinjeにLyssa,Negri小体を見るなど成書のごとくだが,やはり心筋炎が著明であつた.血圧低下はそれを心語るだろう.本症末期症状として原因不明(ビールス直接らしくない)の心筋炎がおこるものと考えられる.

患者と私

患者と名前

著者: 榊原仟

ページ範囲:P.1406 - P.1407

□医者が名利を感ずるとき
 汽車の時間の関係で上野で時間が余り,映画でも見てと,ある劇場に入った.
 座席が満員で,後ろの方で立つて見ていると1人の男が前の方から私に近づいて「先生」という.先生というからには私が医者だと知つているひとに違いない,「席があいています.私の席ですが私は若いですから先生座つて下さい」とのこと.私がためらっていると,「家内が先生に手術して貰った××です.お蔭様で家内も元気になりましたので,ほんとうに久し振りで映画をみにきたのです.家内が先生だというので驚いてお迎えにきました.」どうぞどうぞといわれたが,実は汽車に乗らねばならぬ,その時間がきたのだからと説明して断わった.

外科教育を考える 医師の卒後教育について・4

外科医の卒後教育について—慶応義塾大学の場合

著者: 都築俊治

ページ範囲:P.1408 - P.1413

激動の70年代を前にして如何にすれば社会の要請に応えられる医師をつくることができるか.生涯教育の中で卒後教育をどういうように位置づけたらよいか.以下に述べることは一つのcase reportである.

海外だより

英国の若い医師たち—Senior House Surgeonとしての経験より

著者: 水田祥代

ページ範囲:P.1414 - P.1417

はじめに
 "欧米の医学教育は…云々"とか,"欧米の医師は……云々"という言葉をよく耳にする.その99%の場合に,日本の医学および医学制度を悪く表現するためである.ここ2〜3年の間に日本の医学界には,大革命ともいえる変換がおこり,良きにつけ,悪しきにつけ変わりつつある.はたして日本の医学制度はそれほどに悪いのであろうか?,日本の若い医師達は,それほどに低い教育を受け,悪い生活をしているのであるのか? この激動の時期に,私は英国リバプール市のAlder Hey小児病院でjunior doctorsの1人として2年間を過す機会にめぐまれた.その経験より私の感じた英国の若い医師達の生活について述べてみたい.

論説

腎移植患者に併発したクリプトコッカス髄膜炎とその治療経過について

著者: 横山健郎 ,   花岡建夫 ,   岡村隆夫 ,   小越章平 ,   木内政寛 ,   岩崎洋治 ,   植村研一 ,   小林章男

ページ範囲:P.1421 - P.1426

はじめに
 腎移植患者が乗り超えなければならない合併症は多岐にわたつている.なかでも感染症は移植免疫とからみ合い,移植後の全期間を通じてつきまとうやつかいな問題である.
 私どもの腎移植症例は,生体腎移植および死体腎移植あわせて16例を算えるにいたつたが,これらの症例のうち生体腎移植症例No.LD2は移植術後1年11ヵ月にクリプトコッカスによる髄膜炎を併発した.幸いAmp—hotericin B 3860mgを7ヵ月間にわたつて投与することによつて治癒させることができた.この症例の治療経験を報告し諸家の御参考に供すると同時に御批判を頂ければ幸いである.

早期胃癌再発例の検討

著者: 新井松雄 ,   石井良治 ,   大槻道夫 ,   比企能樹 ,   古谷健二 ,   沢野芳郎 ,   藤山実 ,   吉野肇一

ページ範囲:P.1429 - P.1432

 癌が胃粘膜内または胃粘膜下層に限定している早期胃癌は,診断法の進歩と一般の集団検診等の関心が高まつてきたこと等により,発見される機会が多くなり,胃癌としての根治治癒率も大きく向上してきた.
 一方癌が粘膜内,粘膜下層内に限局する胃癌にもリンパ節転移を伴なうものが観察され,再発を認められる例もあり,必ずしも100%の治癒率をみない.われわれの教室でも(昭和39年〜昭和42年)44例の早期胃癌例を経験したが,今までに興味ある経過を辿つた早期胃癌再発例3例について,そのリンパ節転移,脈管侵襲,深達度,異型度その他の点より検討を加えて,再発の機序を解析し,合せて早期胃癌の手術々式,経過,遠隔についても考按を加えた.

症例

術前に診断が確立され外科的治療に成功した肝外性肝動脈瘤の1例

著者: 初音嘉一郎 ,   窪田倭 ,   工藤龍彦 ,   南孝雄

ページ範囲:P.1435 - P.1442

緒言
 近年,血管外科領域における診断技術の発達ならびに手術手技の進歩により,胸部および腹部大動脈瘤の外科的治験例の報告は数多くみられるが,肝動脈に発生した動脈瘤の報告はきわめて稀で,寡聞によるか本邦ではわずかに6例をみるにすぎない.
 最近,われわれは,術前に診断が確立し,外科的治療に成功した固有肝動脈瘤の1例を経験したので報告する.

原発性空腸癌の1例

著者: 松村高典 ,   四方淳一 ,   新井正美 ,   瀬戸輝一

ページ範囲:P.1446 - P.1450

緒言
 小腸に原発する癌腫は小腸以外の消化管すなわち胃・大腸に発生する癌腫にくらべてその頻度ははるかに低い.このため最近報告されるものの数が増してはいるものの,同一人が何回も遭遇することも1施設で多数の症例をみることも望み難く,ここにわれわれの遭遇した空腸原発癌の1例を報告し小腸癌の本態究明についての一助としたい.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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