臨床外科25巻9号

1970年09月発行

特集 術後早期の再手術

泌尿器科手術と緊急再手術

著者： 井上武夫¹ 平野昭彦¹

所属機関： ¹横浜市民病院泌尿器科

ページ範囲：P.1391 - P.1396

　編集者より，表題のテーマを頂いたが，勉強，経験共に不充分であるが，日頃発表したいと考えていた意見もあるので引受けた．私が最近5〜6年間に経験したり，あるいは友人，同僚から見聞した中から，手術はしたが，誤診，出血，尿瘻等で早々に再手術をしないと死または大変な事故になる症例を発表し分析する．文献の紹介以上に貴重なものであろう．外科医には実地に役立つことは少ないと思うが，知つていればまた何かの折にヒントになることもある．
　緊急再手術は主として出血，尿瘻に対するものである．多くは経験により防ぎ得るが，一方宿命に近いといえるものもある．がわれわれの任務は手術によつて人を助けることであるから，運命だ，宿命だといつてはいられない．再手術は術者にとつて誠に嫌なものであるが，患者にとつては，なおつらいことである．