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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻1号

1971年01月発行

文献概要

特集 これからの外科

臓器移植の現状と将来—特に腎移植を中心に

著者: 四方統男1 松井喜昭2 岡隆宏2

所属機関: 1京都天神川病院外科 2京都府立医科大学第2外科

ページ範囲:P.141 - P.147

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 1970年代,急速に進歩する医学は「臓器移植」であるといわれる.心臓であろうが,腎臓であろうが,取り替えができれば"不治の病気"はなくなる.そして人工心臓,人工腎臓,人工肝臓など人工臓器が完全に代役を果たす"人間改造の時代"へ….だが,現実はまだそこまでいつていない.臓器移植の前には"拒否反応"という厚い壁が立ちふさがつている."最高の治療"といわれる移植ではあるが,文字通り"最高"になるには,この拒否反応など医学上の難問はもちろん人道・倫理上でまだ解決しなければならない問題が多くある.
 腎を中心に,心臓,肺,肝臓,血管,神経,角膜,骨髄,骨など臓器のほとんどの移植が試みられすでに骨や血管,角膜,神経などの移植は大きな成果を上げ,ある程度一般化されてきた.しかし,いわゆる臓器移植,腎臓や心臓などの移植は,腎臓を除いてほとんどがテクニック的に成功しても,思うように長期間生存させ得なかつた.昭和42年12月3日南アフリカのバーナード博士が心臓移植を行なつて以来,連続して世界中で実施されたが,今年にはいつて,この心臓移植も世界的にストップしている.肝臓や肺,すい臓なども,一応実施はされたが,いまは中止状態にある.いずれも症例も少なく,生存率も低く,成功といいうるほどのものではない.例えば膵臓移植についてみると,

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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