icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻10号

1971年10月発行

論説

門脈圧亢進症に対する剔脾—脾—腎静脈吻合との遠隔成績の比較検討による剔脾の適応

著者: 青木春夫1 船曳孝彦1 角本陽一郎1 羽鳥俊郎1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科学教室

ページ範囲:P.1597 - P.1606

文献概要

 門脈圧亢進症では約50〜80%ときわめて高率に食道静脈瘤を認め,出血の頻度も約30〜50%と高い1-4).門脈圧亢進症の中でもとくに肝硬変症の予後はRatnoff and Patek5)など多くの報告があるが6-7),初回吐血の死亡率はOrloff8)の1,000例以上の集計では65.3%ときわめて高く(第1表),吐血1年後の生存率も20〜30%にすぎない4-7)11)13).そこで門脈圧亢進症における食道静脈瘤出血の予防,治療は外科医にとつて重要な課題となつていて,多くの手術術式による努力が行なわれている.
 わが国の門脈圧亢進症に対する治療は,減圧効果がすぐれていることから門脈系—下大静脈系吻合による減圧手術が一時期盛んに推奨され,行なわれていたが,遠隔成績上肝硬変症に対しては術後脳症の発現率が高いことから,肝硬変症に対する門脈—下大静脈端側および側々吻合には批判的となり4)14-17),最近数年前からは肝硬変症に対しては経胸的食道離断術,近位胃切除術など,門脈圧を減じないで食道静脈瘤への血行遮断を目的とした術式を推奨しているものもある18)19)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら