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特集 小児外科の焦点 ヒルシュスプルング氏病—誌上シンポジウム
ヒルシュスプルング病の診断
著者: 小林尚1 平本靖彦1 森田建1
所属機関: 1日本大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1701 - P.1711
文献購入ページに移動従来のHirschsprung病は高度の腹部膨満を伴う慢性便秘を主徴とする幼小児期のものであつたが,近年診断技術の向上によつて新生児症例に注目され,その病態もしだいに明らかにされてきた.新生児症例は幼小児期とは趣きを異にし,急性イレウス症状を主徴とし,しばしば小腸結腸炎を併発し死にいたることも少なくなく,早期診断,早期治療がきわめて重要となるものである.本症の診断に関しレ線学的なcaliber changeの証明が診断基準とされてきた.しかし新生児期においては,この所見が必ずしも証明されないことより,他のレ線所見に注目する意見や,本症以外の類似疾患でも一時的にcaliber changeを示す場合があることより,組織学的検索が強調されてきた.また最近,cholinesteraseやcatecholamineによる組織生化学的研究で,本症の診断とその病態の程度を知る方法13,22)や,直腸肛門反射における内肛門括約筋の反応より診断する16,19,26)報告がみられ,筆者らもこの点に対し検討を加えているが,他稿で述べられると思うので割愛し,本稿ではレ線学的検査および直腸生検を中心に述べたい.
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