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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻11号

1971年11月発行

手術手技

豚を利用した肝切除の訓練

著者: 長谷川博1 北浜昭夫1 福田護1

所属機関: 1国立がんセンター外科

ページ範囲:P.1777 - P.1788

文献概要

 肝切除は,腹部外科を取り扱う者にとつて膵頭十二指腸切除またはそれ以上に経験してみたい手術の1つであろう.しかし何ぶん症例の数が限られており,練達の域に達することは不可能に近い.したがつて外科医はほぼ例外なく経験不足で肝腫瘍にたち向わなければならず,もしも出血が制御できなければ患者の死はほぼ確実に目前にあるというジレンマ〜宿命を背負つていることになる.したがつて執刀者の気持としては,ろくに泳げないものが飛込台の最上段から飛び込むような恐怖感と緊張感に駆られるものである.ことに肝の右葉切除ではしかりであり,外科医,麻酔医,手術室看護婦の一体となつた高いレベルの協調,および輸血と術後管理に関する病院の態勢も大きく関係する.国立がんセンターで経験された症例は幸いにして小児肝がんだけでも開院以来12例であり,試験開腹または肝動脈挿管のみに終つた3例を除けば全例に肝切除が行なわれているが,約8年前の第1例のstormyな手術経過は今なお関係者の脳裡に焼きついており,最近の症例ですら術前術中の執刀者の精神的な負担は巌のごとく重いものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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