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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻12号

1971年12月発行

文献概要

特集 胃癌根治手術の問題点 Ⅱ.胃癌拡大根治手術の限界について

S1以上の症例に対する拡大根治手術R3はどのような意味をもつか?

著者: 田中早苗1 岡島邦雄1 藤井康宏1 中川潤1 河合達1 曾我部興一1 竹下篤範1 荒木京二郎1 戸谷完二1 寺田紘一1 石川純1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科教室

ページ範囲:P.1863 - P.1867

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緒言
 このテーマの出題の意図は,漿膜侵襲のある進行胃癌にたいし,R3という手術侵襲の強い拡大根治手術(広範リンパ節郭清)を行なつた場合その限界があるならば,胃癌の予後を左右する因子であるn-factor(リンパ節転移程度)とs-factor(胃壁内深達度)のどちらが強い影響をおよぼすか,また,漿膜侵襲のすでにある胃癌に手術侵襲の大きな拡大根治手術を行なつても効果があるかどうかを検討してみようという意図であろうと解釈してこれらのことについて述べてみたい.
 まず,n-factor,s-factorの根本を考えてみると,胃癌の手術を行なうに際して外科医はリンパ節郭清を,第3群リンパ節の範囲まで行なうことはできるが,漿膜侵襲はすでに決められたものであつて,外科医が変えることのできないものである.この外科医の力がおよびうるn-factorと,いかんとも変えがたいs-factorの2つを治癒切除という範囲内でその予後を比較してみると,各段階における5年生存率の傾斜は壁深達度因子の方が急峻である(第1,2図).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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