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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻12号

1971年12月発行

文献概要

特集 胃癌根治手術の問題点 Ⅲ.術後愁訴をへらすために

術後愁訴をへらすためのくふう—胃全剔術におけるβ吻合法について

著者: 佐藤博1

所属機関: 1千葉大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1891 - P.1894

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はじめに
 消化管手術の普及発達とともに,胃全剔出術もその手術の安全性も高くなり,広く一般に施行されるようになつてきた.しかしたとえこの手術死亡率が低下したとはいえ,胃切除からくらべればまだまだ,満足すべきものではなく,また術後愁訴の面からも今後十分に検討すべき点が多いところであろう.教室では中山教授時代から胃全剔後の再建法としては第1図のように食道胃吻合,β吻合,B—Ⅱ吻合,Roux吻合,さらに空腸移植吻合などが行なわれているが,教室における1965年から1969年までに胃癌に対して行なつた胃全剔出症例は第1表のごとくである.この期間は私が中山教授の跡を継いでからの5年間の症例である.表の中で噴門切除兼胃瘻造設術とあるのは本来ならば胃全剔出を行なうべき対象に対し,術後早期の栄養補給の意味と術後消化吸収能力への好成績から幽門側の一部を残し,これを胃瘻として術後2〜3日目より栄養補給をするものであつて,その他の再建法は胃全剔出の場合とほとんど変らないのであえて症例に加えてみた.
 症例数は195例で死亡は2例,死亡率は1%である.術式別にみるとβ吻合の数が非常に多い.すなわち噴門切除術兼胃瘻造設術では99例中86例,胃全剔術では96例中74例,計195例中160例,82%にβ吻合術を行なつているわけである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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