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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻12号

1971年12月発行

文献概要

特集 胃癌根治手術の問題点 Ⅲ.術後愁訴をへらすために

術後愁訴からみた胃全剔術式の比較—Roux-Y型吻合法か,B-Ⅱ法か代用胃成形術のくふう

著者: 内山八郎1 加治佐隆1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1895 - P.1898

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はじめに
 胃全摘出術が行なわれたのは1884年Connorをもつて嚆矢とするが,彼はその症例を術後ショックで失なつた.1897年Schlatterは56歳の婦人に胃全摘出術後食道空腸吻合術を行ない,初の成功例をえたが,約14カ月後肝転移で失つている.その後1898年Brighamは第2および第3の成功例を報告し,Richardsonも時を同じく第4例を報告している.麻酔法や感染に対する処置など患者管理が未開発の状態にあつた当時は,胃全摘出術を行なうことはもちろん,切除後の再建操作や吻合部の一期癒合を営ませることはそうたやすいことではなかつたろうと推察される.麻酔法が発達し十分な筋弛緩がえられて広い視野で余裕をもつて切除術,再建術が可能となり,さらに術後感染をはじめとする患者管理がすすむにつれて,胃全摘出術は急速に広く行なわれるようになつた.すでにただ単に切除して下位の消化管と吻合すればよいということに努力がはらわれた時期はすぎた.現在では再建に際して術後障害の最も少ない方式はいかにあるべきかに焦点が向けられ多くの研究者による種々な術式が考案されている.
 筆者らが過去約19年間に,教室で胃癌に対して行なつた胃全摘出術症例は78例で症例数は多くはない.それは筆者が術後機能を考慮して,従来から切除はなるべく必要最少限にとどめたいと考えているからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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