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特集 緊急手術後の合併症・Ⅰ
外科における糖尿病昏睡とその対策—Case Reportの解説を中心に
著者: 赤木正信1 平野元彦1
所属機関: 1熊本大学医学部外科学第二講座
ページ範囲:P.243 - P.251
文献購入ページに移動はじめに
糖尿病昏睡は,わが国では余り多いものではない.その発生頻度は,1958年〜1965年の8年間における糖尿病患者811名の剖検例中,昏睡死は51例6.3%であるという.しかし糖尿病昏睡の死亡率は53.2%で,一度発症した場合の死亡率が著しく高いことは他の疾病には類をみないほどのものであり,その診療上の困難性を予想せしめる.この糖尿病昏睡発生の因子としてインシュリン作用の不足が第一にあげられており,それは細胞飢餓に通ずるものであるが,手術に伴い経口飢餓が強要される外科領域にあつては,糖尿病患者が昏睡に陥る機会が多いことを推察せしめる.このような観点から,ここでは外科領域における糖尿病昏睡とその治療ならびに対策について,症例を呈示しながら,治療内容を病態生理学的見地から述べてみることにする.
糖尿病昏睡は,わが国では余り多いものではない.その発生頻度は,1958年〜1965年の8年間における糖尿病患者811名の剖検例中,昏睡死は51例6.3%であるという.しかし糖尿病昏睡の死亡率は53.2%で,一度発症した場合の死亡率が著しく高いことは他の疾病には類をみないほどのものであり,その診療上の困難性を予想せしめる.この糖尿病昏睡発生の因子としてインシュリン作用の不足が第一にあげられており,それは細胞飢餓に通ずるものであるが,手術に伴い経口飢餓が強要される外科領域にあつては,糖尿病患者が昏睡に陥る機会が多いことを推察せしめる.このような観点から,ここでは外科領域における糖尿病昏睡とその治療ならびに対策について,症例を呈示しながら,治療内容を病態生理学的見地から述べてみることにする.
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