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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻2号

1971年02月発行

文献概要

特集 緊急手術後の合併症・Ⅰ

腹部外傷手術後の消化管出血

著者: 佐野進12 芳賀昭1 黄振地1 佐々木久雄1

所属機関: 1仙台市立病院外科 2東北大学葛西外科

ページ範囲:P.261 - P.270

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はじめに
 過去5年間の腹部外傷は117例で,頭部外傷の合併手術を行なったものを除き腹部外傷が主となつたのは109例であるが,その中術後消化管出血をきたしたのは5例,4.6%に当る.これを従来より腹部外傷術後合併症として一般に報告されている遺残膿瘍,横隔膜下膿瘍,イレウスなどの7例に比較すると意外と発生が高率であるといえよう(第1表,第2表参照).外傷では来院時既往歴も十分知りつくせぬことも多々あり得るが,術後の消化管出血もまた突発的のこともあり,予期せぬ合併症の範疇のものとして外傷故にいたし方ないとそのまま放置してしまわれ,不幸な転帰をとる傾向にあるが,たとえ以前にまったく正常と自他共に自覚していた患者でも,かかることが発生し得るということを念頭におくならば時に救命し得ることもあるので,われわれはこれらの症例を個々に反省し,診断,特にどのような場合に発生するか,なし得ればその予知,さらには処置をいかにすればよいかなどを2,3の代表例をあげ,その経過を追い検討してみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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