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特集 外科とくすり—副作用と適正な使用法
各種癌に対する抗癌剤の使用—とくに消化器系について
著者: 黒柳弥寿雄1 今永一1
所属機関: 1愛知県がんセンター
ページ範囲:P.567 - P.576
文献購入ページに移動はじめに
かつて肺結核外科が化学療法の確立と相まつて発達したと同じように,現代,癌の手術的療法に携わる外科医は優れた抗癌剤の発見を待ちこがれている.原発巣と共にできる限りの所属リンパ節の郭清に努力し,これをcurative operationと呼んでいるが,実際には依然として再発を防止することが困難な現状である.外科医のなしうる限界にきた癌の手術療法はこれ以上術式の改善に努力しても大きく手術成績を向上せしむることは至難であろう.ここに抗癌剤の適応が期待される所為がある.一般に癌の治療には三本の柱があるといわれている.手術療法,放射線療法の二つが局所療法であり,化学療法はいうまでもなく全身療法である.たとえそれが所属動脈内に注入されても全身性に広がるものだからである.これら三つの柱をどのように併用させたら最も効果をあげうるかを苦慮しているのが現在行なわれている癌治療の実態である.
かつて肺結核外科が化学療法の確立と相まつて発達したと同じように,現代,癌の手術的療法に携わる外科医は優れた抗癌剤の発見を待ちこがれている.原発巣と共にできる限りの所属リンパ節の郭清に努力し,これをcurative operationと呼んでいるが,実際には依然として再発を防止することが困難な現状である.外科医のなしうる限界にきた癌の手術療法はこれ以上術式の改善に努力しても大きく手術成績を向上せしむることは至難であろう.ここに抗癌剤の適応が期待される所為がある.一般に癌の治療には三本の柱があるといわれている.手術療法,放射線療法の二つが局所療法であり,化学療法はいうまでもなく全身療法である.たとえそれが所属動脈内に注入されても全身性に広がるものだからである.これら三つの柱をどのように併用させたら最も効果をあげうるかを苦慮しているのが現在行なわれている癌治療の実態である.
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