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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻4号

1971年04月発行

特集 外科とくすり—副作用と適正な使用法

外科臨床と血管作働性物質

著者: 伊藤信義1

所属機関: 1神戸大学医学部第一外科教室

ページ範囲:P.627 - P.633

文献概要

はじめに
 外科臨床において血管作働性物質が問題になるのは,主として脊麻ショック,外傷性ショック,術後ショックなどにみられる急激な血圧下降の場合である.これと別の意味で血管作働性物質が問題になることがある.たとえば,外科的高血圧症(虚血性腎性高血圧症),胃切後のダンピングなどである.前者では,生体内血管作働性物質の一つであるRenin-Angiotensin系(AngiotensinⅡ)が高血圧の原因的物質とみなされており,後者の場合は,その多彩な血管運動症状は血中に遊離放出されるhistamine,serotoninあるいはkininsなどに帰せられている.
 虚血性腎性高血圧症,胃切後ダンピングのいずれも,外科としては重大かつ興味ある問題ではあるが,いわゆるショックとは発生病理,治療の点で大いに趣を異にしている.従つて,これらについては別の機会にゆずり,ここではもつぱら外科臨床に最も関係の深い急性血圧下降すなわちショック(虚脱を含めて)をめぐつて話を進める.当然のことながら,血管作働性物質のなかでもcate-cholaminesその類似物質および交感神経遮断剤の臨床が中心になる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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