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臓器移植と悪性腫瘍の発生について
著者: 都築俊治1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科
ページ範囲:P.664 - P.665
文献購入ページに移動 最近の米国における臓器移植の進歩はめざましく,腎臓を初めとして心臓,肝臓,膵臓,肺,腸などあらゆる臓器の移植が行なわれている.なかでも腎臓移植の発展普及は目を見張る程で一施設で200例以上の症例を持つところもいくつかあり,その成績も良好で,すでに実験外科の域を脱して治療法としての地位を確立している.例えばMinnesota大学の140例の成績は2年生存率がliving donorの場合90%,cadaver donorの場合80%であり,腎臓移植はすでに安全な手術となつたといえる。さらにMinnesota大学では従来脾細胞を馬に注射して作られていた抗リンパ球グロブリンに代えて,末梢リンパ球を馬に注射して作られた抗リンパ球血清のうち,IgGのみを使うことによつて従来の使用量の7〜8倍を投与することができるようになつたため,最近行なわれた34例ではさらに良好な結果が得られる見込であると発表している1).そしてこの強力な免疫抑制剤の出現によつて組織適合性検査の結果をあまり顧慮しなくてもよいとさえ関係者は述べている.
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