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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻5号

1971年05月発行

特集 手術とその根拠・Ⅰ

胃・十二指腸潰瘍の手術とその根拠—幽門洞切除兼迷走神経切断術を中心に

著者: 笠岡千孝1 大久保高明1 山岸三木雄2

所属機関: 1横浜市立大学医学部第二外科学教室 2横浜市立大学

ページ範囲:P.761 - P.766

文献概要

最近の外科療法の動向
 胃,十二指腸潰瘍に対する外科療法の最近の動行として,三つのおもなる流れがある.第一は,潰瘍発生に関与すると考えられる局所的,解剖学的因子を,潰瘍を含めて,胃切除という素朴な方法で除去せんとする従来の流れであり,第二は,胃切除という原始的な方法を避け,胃機能を手術的に調節することによつて潰瘍を治癒せしめんとする流れであり,第三はこれら両者を合理的に合わせ取り入れた流れである.胃切除のみによつて潰瘍治癒の目的を達せんとする手術の代表的なものは,従来の広範胃切除術である.胃切除は行なわないで,胃機能を調節するいわゆる機能的手術は迷走神経切断術兼幽門成形術によつて代表される.第三の流れとしては,幽門洞切除術兼迷走神経切断術があげられる.
 胃潰瘍と十二指腸潰瘍とに分けて考えると,第一の流れは,胃潰瘍,十二指腸潰瘍のいずれにも用いられるが,第二,第三の流れは主として十二指腸潰瘍に用いられる.しかし,これら三つの手術は,それぞれ手段は異なるが,潰瘍治癒あるいは再発潰瘍防止のために適当な減酸効果の獲得ということを最大の共通的目的としている.また同時に,手術によつておこり得る術後後遺症をできるだけ防止せねばならないという課題を背負わされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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