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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻6号

1971年06月発行

特集 手術とその根拠・Ⅱ

膵臓の手術とその根拠—急性膵炎の手術

著者: 村田勇1 広野禎介1

所属機関: 1富山県立中央病院第一外科

ページ範囲:P.925 - P.931

文献概要

はじめに
 膵炎の分類に関しては,従来より種々なる意見が述べられ,病理形態学的にまた原因別に,あるいは臨床症状によつて,いろいろと分類が試みられている3,21).しかし,いずれにしても,細かく分類することは臨床的に無理なことが多く,現在なお判然とした基準がないようである.したがつて臨床的立場から,膵炎を大きく急性と慢性の2つに大別し,べつに再発をくり返す傾向の強いものを再発性膵炎として区別するのが,もつとも妥当な分類と考えられる17).慢性膵炎については,まだその定義概念すら完全に確立されておらず,したがつてその治療方針も,ようやく種々検討が加えられつつある現状である.最近になり,膵臓外科の進歩とともに,欧米では重症の慢性膵炎に対し,積極的に手術が行なわれるようになつてきた.しかし本邦では重症な慢性膵炎が比較的少ないということもあつて,本症に対する手術例の報告は,わずかに散見されるのみである14).慢性膵炎に対する外科的治療の適用に関しては,今後さらに慎重なる検討を要するが,膵石が合併するもの,あるいは膵管の狭窄が高度なるものは,一応,手術適応と考えてよいようである.
 本稿では,慢性膵炎にはふれずに,急性膵炎のみに限定して,その手術適応,手術侵襲の限界,術式の選択につき概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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