文献詳細
文献概要
患者と私
「予後」などについて
著者: 高山坦三1
所属機関: 1札幌医大
ページ範囲:P.960 - P.961
文献購入ページに移動□「予後」とは何か?
素人ならいざ知らず,医師の,しかも医学者として指導的立場にある人が,医学の用語を誤つて使用されては,これはたいへん困るといわざるをえない.先日も,ある医学雑誌にそのような立場の人が,「予後を悪くする因子」という一小文を掲げてあるので,「予後」を悪くする因子,すなわち疾病の経過の予見(みとおし)を狂わすような因子について書いてあるものと思い,おおいに期待して読んでみたところ,それは,案に相違して,予後を悪くする因子についてではなく,疾病の「経過」を悪くするような因子について述べてあるにすぎないので,期待を裏切られた思いをしたが,ことほど左様に「予後」という言葉の用法は,案外むずかしいのである.
予後Prognosisという語をはじめて使用したのはヒポクラテスといわれている.あの尨大なヒポクラテスの全典の第25章の「予後」という章には,実に微に入り細にわたつて「予後」について論じてある.そしてそれは確かに「予後」についてである.
素人ならいざ知らず,医師の,しかも医学者として指導的立場にある人が,医学の用語を誤つて使用されては,これはたいへん困るといわざるをえない.先日も,ある医学雑誌にそのような立場の人が,「予後を悪くする因子」という一小文を掲げてあるので,「予後」を悪くする因子,すなわち疾病の経過の予見(みとおし)を狂わすような因子について書いてあるものと思い,おおいに期待して読んでみたところ,それは,案に相違して,予後を悪くする因子についてではなく,疾病の「経過」を悪くするような因子について述べてあるにすぎないので,期待を裏切られた思いをしたが,ことほど左様に「予後」という言葉の用法は,案外むずかしいのである.
予後Prognosisという語をはじめて使用したのはヒポクラテスといわれている.あの尨大なヒポクラテスの全典の第25章の「予後」という章には,実に微に入り細にわたつて「予後」について論じてある.そしてそれは確かに「予後」についてである.
掲載誌情報