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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻8号

1971年08月発行

特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療

Ⅲ.顔面外傷

新鮮顔面外傷の救急処置と治療方針

著者: 藤野豊美1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部形成外科

ページ範囲:P.1229 - P.1234

文献概要

 われわれの形成外科外来をおとずれる患者の最近の傾向をみると,外傷とくに交通事故によつて顔面に受傷した例が非常に増加している.これらの患者は直接診療された第一線の医師による紹介も少なくないが,患者自身が「顔のことだから,できるだけ早く,より良く治療したい」との理由で来院する場合が多くなつている.前者は「餅は餅屋にまかせる」という専門分野は尊重していただいているあらわれで,これはまことに民主的な考えで,われわれ形成外科医は関連科の先生方に深謝している次第である.後者は我田引水的であるが形成外科医が多少でも社会に役立つ仕事をしていることが徐々に理解していただいているものと思われる.
 一般外科医は現在,脳外科領域を除けば頸部,胸部,腹部が主力であろう.四肢は整形外科が主力であろう.課題となつている顔面は眼科,耳鼻科,口腔外科に細分されたためか,従来の教科書では頭頸部外科とはいうが顔面外科とは呼称されていない.実際に一般外科にいる友人に聞いてみると顔面はある程度領域外という感じがするという.しかし今日のような交通戦争下では眼科,耳鼻科,口腔外科の3科全域におよぶ顔面外傷が多発している.形成外科では各3科では取り残され診療対象となつていない領域を統合し,これを顔面外科として主力をそそいでいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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