文献詳細
特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療
Ⅴ.腹部外傷
膵損傷の診断と手術方法—自験例を中心として
著者: 佐藤寿雄1 斉藤洋一1 松野正紀1 芳賀紀夫1
所属機関: 1東北大学医学部第一外科教室
ページ範囲:P.1281 - P.1287
文献概要
膵臓は解剖学的に後腹膜腔にあつて諸臓器に被われているため,膵損傷の頻度は比較的少なく,一般に腹部外傷の1〜3%といわれている1).しかし,膵損傷の際には他臓器の合併損傷を伴うことも多いため,その死亡率は高く,また診断や治療面でも困難を伴うことが少なくない.近年,交通事故や産業事故の増加と相まつて,膵損傷も増加しており,比較的救急患者の少ない著者らの大学病院においても過去10年間に10例の膵損傷を経験している.今回はこれらの自験例を中心として,本症における問題点の2,3について言及してみたい.
掲載誌情報