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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻8号

1971年08月発行

特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療

Ⅴ.腹部外傷 最近の興味ある腹部外傷症例

膵頭十二指腸切除により救命し得た重症膵損傷の1例

著者: 斉藤敏明12 比企能樹1 重城明男1 横山勲1 中島竜夫1 花上仁1 古屋正人1

所属機関: 1川崎市立川崎病院外科 2慶応義塾大学医学部

ページ範囲:P.1297 - P.1303

文献概要

はじめに
 膵損傷は比較的稀である.その理由は,膵は体内深く,後腹膜腔にあり,周囲より保護された場所にあるためで,腹部外傷における膵損傷の頻度は1〜4%を占めるに過ぎないといわれている1)2)
 膵外傷は1827年Traversが剖検にての報告に始まり,1903年Mikuliczは45例の膵外傷の検討の結果,重症膵損傷に対する救命の方法は手術以外にないと示唆している.そして,1905年Garréが完全膵断裂を縫合により治癒せしめ,最初の生存例を報告して以来,膵外傷に対して積極的に手術が行なわれるようになつた1).しかし,膵は強力な酵素産生臓器の故にその成績は悪く,死亡率は10〜32.5%とかなりの高率を示している1)3-6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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