icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻8号

1971年08月発行

文献概要

特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療 Ⅸ.四肢・手の外傷

切断肢の処置・再植

著者: 白羽弥右衛門1 上道哲2

所属機関: 1大阪市立大学医学部第2外科 2厚生会高津病院外科

ページ範囲:P.1357 - P.1363

文献購入ページに移動
はじめに
 戦傷や不慮の外傷で完全に切断された四肢をもとどおりに接着したいとの望みは,だれもがいだくところであつて,古くから多くの外科医によつてこころみられ,しかも失敗をくり返してきたことである(第1図).
 切断肢の再植をはじめて科学的に検討したのはHalsted(1887)であった.かれは,犬の大腿動・静脈を残して大腿部を切断したあとで,その再接着(血管吻合を伴うものを,とくに区別して再植ということとする)をこころみた結果,皮膚,筋,腱などの諸組織をおのおの綿密に縫合すれば,創傷治療の機構がおこりうることを確めた.その当時においては,もちろんまだ血管の吻合技術がなく,四肢主幹動・静脈の損傷に対しては,もつぱら結紮が行なわれていたにすぎない.血管吻合法が技術的に開発されたのは今世紀のはじめであつて,これはCarrelとGuthrieらの功績であり,その後に至つてはじめて血管吻合を伴う真の意味での切断肢再植が実験的に行なわれるようになつたしだいである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?