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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻8号

1971年08月発行

文献概要

特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療 Ⅸ.四肢・手の外傷

手の外傷—救急処置と治療方針のたて方

著者: 諸橋政樻1

所属機関: 1山形県鶴岡市立荘内病院整形外科

ページ範囲:P.1365 - P.1372

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いとぐち
 Mason,Bunnellなどの先覚の努力によつて確立された「手の外科」の進歩は著しいものがあるが,手の外傷に対する救急処置の実際はこの分野において常に主要な位置を占めている.それは生命に対する危険度は少ない反面,文明社会における手の機能の重要性と美容上の価値がますます認識されるようになつておるからであり,またようやく体系化されてきたばかりといつても過言ではないからである.たとえばただ1本の屈筋腱が切れた場合でさえ十分な機能の復元をもたらすには高度の技術が要るという一事をみてもよくうかがい知れよう.
 しかし手の外傷の治療といつても原則的には他の外傷と格別変つたことはなく,要約すれば初期治療のやり方が最終の結果と直接結びついているということで,ただ手という比較的小さな部分にコンパクトにつめ込まれている諸器官や組織が同時に損傷をうけ創傷治癒機転である瘢痕が個々の組織の機能回復を障害しやすいというところに特殊性があるといえよう.ところでわが国においては手の外傷をまず真先にとり扱うのは救急病院や一般外科医であり,ここで処理されたものが手の外科専門医のいる医療機関に送られるというケースが多いというのが現況のようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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