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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻9号

1971年09月発行

特集 上腹部痛—誤りやすい疾患の診療

上腹部痛を主訴とする急性腹症—胆石症,胆嚢炎

著者: 土屋涼一1 赤司光弘1 内村正幸1

所属機関: 1長崎大学第2外科

ページ範囲:P.1443 - P.1449

文献概要

はじめに
 胆石・胆嚢炎のうち上腹部痛を主訴とし急性腹症として来院するのは,胆嚢蓄膿症,壊疽性胆嚢炎,胆嚢穿孔,胆石嵌頓などで,日常の診療によく遭遇するものである.その他,出血性胆嚢炎,遊走胆嚢捻転,胆道内回虫迷入,外傷などの報告もみられるが,きわめてまれである.これら急性腹症を呈する胆石・胆嚢炎を中心として,その診断の要点について最近経験した教室例から検討してみた.昭和45年1月より46年5月までの胆石・胆嚢炎の教室症例は79例で,その内訳は第1表のごとくである.入院より手術までの期間3日以内の症例を急性腹症として考えると,胆嚢炎では10例のうち1例,胆石症では69例のうち8例である.さらに,これら急性腹症9例の内訳は第2表のごとくである.
 胆石・胆嚢炎が疑われた場合,まず保存的に急性炎症を鎮静し,確実な診断,十分な術前準備のもとに,適応に応じて手術を施行することが原則であり,最近は胆石・胆嚢炎の緊急手術は次第に減少する傾向にある4).しかし,胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎は緊急手術の絶対的適応であり,教室でも急性腹症として処置された9例のうち2例の胆嚢穿孔例を経験した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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