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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻9号

1971年09月発行

特集 上腹部痛—誤りやすい疾患の診療

上腹部痛を主訴とする急性腹症—急性膵炎

著者: 村田勇1 広野禎介1

所属機関: 1富山県立中央病院外科

ページ範囲:P.1451 - P.1459

文献概要

はじめに
 上腹部痛を主訴とする急性腹症には,胃・十二指腸潰瘍穿孔,急性胆嚢炎,イレウス,急性膵炎など,緊急処置を講じないと,重大なる結果を招くものが少なくない.しかし,急性腹症の多くは,日常,われわれがしばしば遭遇する疾患が多いにもかかわらず,発病初期には典型的な症状を示すものが少なく,その鑑別診断は必ずしも容易ではない.いずれにしても,急性腹症においては,その症状,経過,腹部所見,検査所見などを総合的に,的確に判断し,すみやかに診断を下すよう心がけることが必要である.とくに,緊急手術を要する疾患では,診断の正確をのぞむあまり,検査に時間をかけすぎて,手術の時期を失しないよう注意すべきである.
 本稿では,これら急性腹症のうちでも,とくに鑑別診断が困難とされている急性膵炎について,主として,その症状,診断面を中心に検討を加えたい.急性膵炎に対する一般の認識が高まるにつれて,近年,その病態生理についても漸次解明されつつある11)26).しかし,本症の診断に関しては,いまだ決定的な診断法が確立されておらず,臨床症状,および血清・尿アミラーゼ値の測定以外には,信頼すべき検査法が少ない現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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