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文献詳細

雑誌文献

臨床外科26巻9号

1971年09月発行

文献概要

特集 上腹部痛—誤りやすい疾患の診療

小児の急性腹症—幼児期の腹痛を主訴とするものを中心に

著者: 秋山洋1 石井勝巳1 小平義彦1 佐伯守洋1

所属機関: 1国立小児病院外科

ページ範囲:P.1467 - P.1474

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はじめに
 一般に急性腹症の概念は原因不明の腹痛や嘔吐を主訴として来院し,緊急的に手術を行なう必要がある疾患を指しているが,小児の場合にとくに腹痛という症状が不定であり,Abdominal em-ergency1)ということばが用いられ,このことばが適当のように思われるのでここではこの意味で理解したいと思う.したがつて来院時は診断不明でも実際問題として術前に種々な検査を行なえば,その原因疾患の見当がつくことが多い.事実われわれも術前に急性腹症としたばくぜんとした診断のもとで手術を行なつた症例はほとんどなく,術前にはかなり診断がつくことが多い.
 小児のabdominal emergency,すなわち,緊急的に手術を必要とするような疾患は,新生児,乳児期のいわゆる先天性疾患に原因があることが多く,これについての報告は多い.しかしこのような年齢で,特殊な疾患に遭遇する機会は一般外科医では少ないと思われ,しかも幼児期の症例の報告は少なく,さらに幼児においては上腹部痛を選択的に訴えることは少ないので,とくに,ここでは幼児を中心にして,急性腹症として取り扱われうる疾患をその診断面を中心にしてわれわれの経験にもとづいて述べてみたいと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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