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文献詳細

雑誌文献

臨床外科27巻1号

1972年01月発行

文献概要

特集 早期癌の外科治療

大腸早期癌の外科治療

著者: 山田粛1

所属機関: 1癌研究会付属病院外科

ページ範囲:P.51 - P.54

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はじめに
 大腸早期癌は,癌の浸潤が粘膜内または粘膜下に止り,いまだ粘膜下層への浸潤のないものをいう.転移の有無は問わないことになつているが,実際上転移のあることは稀である.大腸早期癌の大きさはおおむね2cm以内に止り,2cmを越えるものは少なく,治癒率ははなはだ高い.われわれの症例によると大腸癌のうちで長径が2cm以内のものは全部早期癌の範囲にあったが,2.1〜3.0cm例(壁在例)ではリンパ節転移約35%,早期癌16%,5年生存率60%であつた.われわれの早期癌29例の分析によると,形態的には有径ポリープ状42%,無茎ポリープ状26%,潰瘍形成性31%であつた.Sprattらによる20例(smallcancer)ではpedunculated 30%,sessile poly—poid 10%,sessile 30%,ulcerated 30%になつている.またわれわれの多発癌例中にみられた早期癌中にはⅡa型扁平隆起性腫瘍が少数にあつた.全例を通じて腺管構造の明らかな腺癌であり,硬癌,膠様癌はみられなかつた.また胃にみられる表面陥凹型(Ⅱc)も発見できなかつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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