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文献詳細

雑誌文献

臨床外科27巻10号

1972年10月発行

文献概要

特集 頸部血管障害

Subclavian Steal Syndrome—その病態と臨床症状について

著者: 田崎義昭1 沢田徹1

所属機関: 1北里大学医学部内科

ページ範囲:P.1413 - P.1421

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はじめに
 Subclavian steal syndromeは,1960年Con-torni1)によつてはじめてその存在が報告され,ついで1961年Reivichら2)によつてその特異な病態が明らにされた症候群である.すなわち,鎖骨下動脈起始部の閉塞と同側椎骨動脈の逆行性血流があり,臨床的には患側上肢の疼痛,易疲労性,知覚異常などとともに,めまい,複視,耳鳴,構音障害などの脳幹障害を主とする神経症状を呈する症状群をいう.そしてこれらの症状が上肢の運動によつて誘発もしくは増強することがその特徴のひとつとなつている.本症候群では,患側上肢の血流が反対側椎骨動脈を経て同側椎骨動脈から逆行性に供給されており,運動などによつて上肢の血流需要が増大すると本来脳へ行くべき血液が上肢の方へ奪われ,脳虚血を起すために上記のような神経症状が発現する,とされている2).本症候群の血行力学的な病態が脳血流を鎖骨下動脈灌流領域に奪う(steal)ことにあるから,New Engl. J.Med.のEditorialは3)これを"subclavian steal"syndromeと名付けた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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