文献詳細
論説
文献概要
緒言
腸骨・大腿静脈血栓症は欧米では,古くから不愉快な後遺症を残す疾患として注目されてきたが,本邦では発生が比較的少なく,余り関心が持たれなかつた1),しかし,近年,体格の肥満化や食生活の変化などにより急速に増加の傾向にある.従来,本疾患に対して手術療法の永続的効果に疑問が持たれ2),もつぱら保存療法が優先してきたが,最近では血管外科,抗凝固療法などの進歩により,本疾患を外科的に治療せんとする傾向が強くなり,この予後が検討されている.
特に,1965年Fogertyにより考案されたバルーン・カテーテルによる血栓摘除術が,高齢者や一般状態の不良な患者に対しても少ない侵襲で行ないうるようになり,本手技を中心とした手術方法が急性静脈血栓症に対する治療法の主流となつてきた3).しかし,全例が容易に開通し後遺症を残さずに治癒する訳ではなく,さらに,Palma氏手術4)や筋膜切開術の追加施行5),肺塞栓のさいの下大静脈結紮術などを症例により選択せねばならず,種々の問題を含んでいる.
腸骨・大腿静脈血栓症は欧米では,古くから不愉快な後遺症を残す疾患として注目されてきたが,本邦では発生が比較的少なく,余り関心が持たれなかつた1),しかし,近年,体格の肥満化や食生活の変化などにより急速に増加の傾向にある.従来,本疾患に対して手術療法の永続的効果に疑問が持たれ2),もつぱら保存療法が優先してきたが,最近では血管外科,抗凝固療法などの進歩により,本疾患を外科的に治療せんとする傾向が強くなり,この予後が検討されている.
特に,1965年Fogertyにより考案されたバルーン・カテーテルによる血栓摘除術が,高齢者や一般状態の不良な患者に対しても少ない侵襲で行ないうるようになり,本手技を中心とした手術方法が急性静脈血栓症に対する治療法の主流となつてきた3).しかし,全例が容易に開通し後遺症を残さずに治癒する訳ではなく,さらに,Palma氏手術4)や筋膜切開術の追加施行5),肺塞栓のさいの下大静脈結紮術などを症例により選択せねばならず,種々の問題を含んでいる.
掲載誌情報