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文献詳細

雑誌文献

臨床外科27巻12号

1972年12月発行

特集 外科と大腸—炎症性疾患を中心に

潰瘍性大腸炎の重篤度と手術適応

著者: 田井千秋1 田中早苗1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科教室

ページ範囲:P.1667 - P.1675

文献概要

はじめに
 定型的な症状経過をとる潰瘍性大腸炎の診断はさして困難ではない.症状が初発より重症で,急激に重篤化するものでは,診断も容易ではないが,その治療はなおのこと困難で,しばしば手術の時期を逸して不幸の転帰をとる.軽症あるいは中等症として,長年にわたつて保存的に加療されてきた本症が後で触れる種々の合併症,あるいは難治のために,外科治療をうけるといつた症例の方が実際には多いのであるが,外科領域で注目されるのは,頻度は少なくても先に述べたような激症型の重篤な潰瘍性大腸炎であると考える.一般に大腸疾患の多い欧米では,潰瘍性大腸炎の頻度も高く,諸家の報告を見ても500例以上の症例に基づく統計的観察が主である.幸か不幸か,本邦ではこれまでその発生頻度は低く,一施設で100例を越す報告をみない.最近になつて症例が増加しているような印象をうけるが,診断技術の進歩あるいは一般臨床医の関心が高まつたことなどによるものと思われる.特に外科的疾患として問題となる重篤症は未だ症例数も少なく一般臨床家にとつて重篤な本症はやはり一例一例きわめて個性的で,その経過,予後を経験的に推測できるといつた状態でないのが現状と考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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