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文献詳細

雑誌文献

臨床外科27巻2号

1972年02月発行

文献概要

論説

腹腔動脈瘤の手術治療

著者: 田辺達三1 太田里美1 橋本正人1 久保田宏1 本間仗介1 菱山豊平1 杉江三郎1 川嶋旭2

所属機関: 1北海道大学医学部第2外科 2江別市立病院外科

ページ範囲:P.219 - P.225

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はじめに
 腹部にみられる動脈瘤のうち,しばしば経験するのは腹部大動脈瘤,腸骨動脈瘤であり,腹部内臓動脈に発生する動脈瘤は比較的稀である.Hebe-rer1)の集計によれば腹部内臓動脈に発生した動脈瘤の報告は803例であり,その頻度は脾動脈瘤がもっとも多く約半数の45.4%を占め,ついで腎動脈瘤21.9%,肝動脈瘤16.8%,上腸間膜動脈瘤8.7%であり,腹腔動脈瘤の発生は4.6%,胃動脈瘤2.2%,十二指腸動脈瘤0.4%であるという.本邦における報告例もきわめて少なく,著者ら2)が集計したところによると,脾動脈瘤17例,腎動脈瘤21例,肝動脈瘤7例,上腸間膜動脈瘤5例,腹腔動脈瘤1例など50例前後にすぎない.
 これらの動脈瘤は不定の症状を示すにすぎず,その診断は難しい.しかも高率に破裂をきたすためその予後は不良で,かかる時期の手術成績も良好ではない.近年,腹部疾患の診断に血管造影が広く応用されてきているが,これとともに稀な腹部内臓動脈の動脈瘤も発見される機会が増加し,手術前診断による手術成功例もふえてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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