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文献詳細

雑誌文献

臨床外科27巻4号

1972年04月発行

論説

転移性肝平滑筋肉腫に対する肝動脈結紮術

著者: 永末直文1 比企亮介2 荒木貞夫1 綾部欣司1 村上博圀1 草場威稜夫1

所属機関: 1福岡県済生会八幡病院外科 2熊本大学医学部第2外科

ページ範囲:P.527 - P.534

文献概要

はじめに
 転移性肝腫瘍を何ら治療せず経過をみた場合,その予後はきわめて悪い.例えばJaffe15)らによると390例の平均生存期間は75日であつたといい,Bengmark4)らによると156例のそれは5.7カ月であつたという.肝臓外科の進歩した現今では転移性であつてもそれが限局性であれば,肝葉切除あるいは肝部分切除術が行なわれ,その意義は認められている.しかし肝両葉にわたる広範な転移性腫瘍に対しては,根治性からみるとほとんどなすすべがないのが現状である.持続注入ポンプを用いた化学療法がpalliativeな意味で一般に行なわれているが,合併症と繁雑さはまぬがれない.
 1952年Markowitz20)は転移性肝腫瘍はその血行をほとんど肝動脈より受けていることより,肝動脈結紮がその治療になりうるだろうと示唆している.その後Mori23)らは胃癌の肝転移に対して術中偶然に肝動脈が結紮され,剖検で転移巣が選択的に壊死に陥つた1例を報告し,Nilsson25)は転移性肝腫瘍の治療として肝動脈遮断を行ないその効果を示した.最近では,Almersjo1)ら,Mad-ding19)ら,Murray-Lyon24)ら,土屋28),葛西17)らの報告がみられその有効性と安全性がさらに確実となつてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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