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特集 皮膚切開法と到達法・Ⅰ
耳下腺腫瘍の手術
著者: 北村武1
所属機関: 1千葉大学医学部耳鼻咽喉科教室
ページ範囲:P.771 - P.777
文献購入ページに移動はじめに
耳下腺には多くの種類の腫瘍がみられるが上皮性腫瘍としては多形腺腫(混合腫瘍)がもつとも多く,ついで腺癌,中胚葉性腫瘍としては血管腫,リンパ管腫があるが,上皮性腫瘍と比較すると少ない.肉腫は非常に少ない.治療の面からみると良性,悪性,上皮性,中胚葉性,いずれも放射線,薬物療法が無効に近く,手術が唯一の望みのある治療法である1).
耳下腺腫瘍の摘出を困難にする第1の理由はそのうちを後方から前方に向つて顔面神経が通過していることである2).しかも腺内で複雑に分岐と吻合をくりかえしている(第1図).それを傷つけることは麻痺を起こし,顔貌が醜くなり,2,3の生理機能の障害を起こすにとどまらず,患者に与える精神的な障害は計り知れないものがある.第2の理由は下から上に外頸動脈が通過していることである.しかも神経と同じように分岐をしている(第2図).その上随伴静脈を伴つている.
耳下腺には多くの種類の腫瘍がみられるが上皮性腫瘍としては多形腺腫(混合腫瘍)がもつとも多く,ついで腺癌,中胚葉性腫瘍としては血管腫,リンパ管腫があるが,上皮性腫瘍と比較すると少ない.肉腫は非常に少ない.治療の面からみると良性,悪性,上皮性,中胚葉性,いずれも放射線,薬物療法が無効に近く,手術が唯一の望みのある治療法である1).
耳下腺腫瘍の摘出を困難にする第1の理由はそのうちを後方から前方に向つて顔面神経が通過していることである2).しかも腺内で複雑に分岐と吻合をくりかえしている(第1図).それを傷つけることは麻痺を起こし,顔貌が醜くなり,2,3の生理機能の障害を起こすにとどまらず,患者に与える精神的な障害は計り知れないものがある.第2の理由は下から上に外頸動脈が通過していることである.しかも神経と同じように分岐をしている(第2図).その上随伴静脈を伴つている.
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