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文献詳細

雑誌文献

臨床外科27巻7号

1972年07月発行

文献概要

症例

乳児にみられた上腕動脈閉塞による指壊死例

著者: 大原到1 高宮誠之2

所属機関: 1東北大医学部第2外科 2東北大医学部放射線科

ページ範囲:P.1005 - P.1010

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はじめに
 乳幼児にみられる四肢の循環障害は稀なものであるが,欧米の小児外科教科書1-5)10)では一般にこの問題を四肢の壊死として一項目をもうけて取り扱つている.本症の概略を述べれば,誕生時または誕生後数週以内に突然上,下肢の一部がチアノーゼを呈し,冷感等明らかな血流障害がみられ,指趾尖端あるいは下腿,前腕が壊死に陥る.発熱,皮下出血斑,敗血症症状,脱水状態,ショック状態等を伴つていることが多く,末梢血管の攣縮または血栓により,血流障害の原因になるといわれている.治療法としては一般状態の改善をはかるが,壊死に対しては感染を防ぎ,組織が乾性壊死により自然に脱落するのをまつか,生体の中毒症状の程度により切断術が行なわれている.
 昭和46年畑埜等13)は生後3ヵ月および6歳の乳幼児の指にみられた末梢循環障害例を報告し,1例は両指の自然脱落,1例は薬剤により治癒したと述べ,本症の存在に対して世人の注意を喚起した.われわれは生後11ヵ月の乳児で原因不明の上肢動脈閉塞により示指が壊死に陥つた症例を経験したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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