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特集 胆道外科のPitfall
胆管炎の臨床—特に急性胆管炎を中心とした考察
著者: 菅原克彦1 田島芳雄1 玉熊正悦1 柏井昭良1 三谷進1 河野信博1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1061 - P.1070
文献購入ページに移動胆石症の手術成績は,高齢者や肝外閉塞性黄疸を伴うもの以外では手術による直接死亡は1%以下であり,外科手術成績は良好である.しかし既往に胆石症などのために胆道系に手術操作を加えた症例にみられることが多い急性化膿性胆管炎は,胆管の狭窄と炎症を主病変とし,正確な診断と時機を失せぬ救急手術を行なわぬ限り予後はきわめて悪い.本疾患は1877年にCharcot1)が記載して以来,病因,経過が特異であるために注目されてはいるが,臨床症状が幅広い2)ために報告者によつて定義が一定でないきらいがある.本症は近時広範囲スペクトラム化学療法剤が汎用されるようになり,典型的な症状をみぬうちに一時的に軽快することもあり得るが,胆管の閉塞が解除されぬ限り,感染をくりかえして重篤な経過をたどるにいたるため多くの注目を集めてきた.本稿では胆管炎ならびに急性化膿性胆管炎の定義,さらに急性化膿性胆管炎にいたる前段階で積極的な治療を行なう根拠となる症状などについて自験例を中心にのべる.
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