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特集 外科医のための臨床検査
高齢者手術と臨床検査
著者: 山城守也1 金沢暁太郎1 中山夏太郎1 橋本肇1 加賀美尚1
所属機関: 1養育院付属病院外科
ページ範囲:P.1383 - P.1391
文献購入ページに移動従来から老人または老年者の定義について種々問題になつてきているが,いわゆる成人と老年者を65歳,70歳で分けてもルーチンの臨床検査によつてはなかなか明瞭な差がでてこないのが普通である.しかしながらヒトというものには個体の寿命があるし,人口動態統計によつても現実に80歳前後に死亡数のピークがあり,この年齢の付近に平均的寿命があることは確かである.80歳以上であつても一見元気な老人は多いが,疾患そのもの以外に老化(年齢)そのものによる死の危険はやはり高いと考えねばならないであろう.例えば年齢的に特有でない肺炎が高齢者ではもつとも高い直接死因となつていることなどは,その抵抗力,予備力の失調を物語るものであろう1).
村地は1),老年者の年代区分に関して,次のように述べている.すなわち「70歳代の半ば以前の老年者に認められる身体機能の異常は,年齢そのものよりも疾患や動脈硬化に起因する場合が多い.一方70歳代後半にはいつた老年者では,年齢そのものによるいわば生理的老化が進んでおり,外的侵襲に対して抵抗力が落ちている」.われわれも70歳代,80歳代の手術をてがけてきたが全く同惑である.
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