icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科28巻11号

1973年11月発行

カラーグラフ 臨床病理シリーズ・20

腸の炎症性疾患

Ⅱ.アニサキス症,蜂窩織炎,ベーチェット病

著者: 小出紀1

所属機関: 1済生会中央病院病理

ページ範囲:P.1508 - P.1509

文献概要

 前回のべた如く,クローン病は亜急性乃至慢性の局所性回腸炎として記載されたものであるが,本邦では古くから急性の局所性回腸炎が注目されている.それがクローン病の急性期である可能性も否定できないが,日本人は生の魚介類の食物を好むので,アニサキス(鯨等海産哺乳類の胃に寄生する線虫類で,その幼虫が小甲穀類・魚類を宿主とする)の幼虫による病変としての急性局所性回腸炎を念頭に止めておきたい.本症の場合,好酸球性蜂窩織炎の形をとるが,イレウス症状が重篤でない限り,保存的療法で大多数例を全治せしめ得るといわれる.ところで,一般に腸の蜂窩織炎はまれなものであるが,発生するとイレウスの原因となり原病を増悪させることが多いので注意を要する.再生不良性貧血・白血病等の血液疾患の時の他,肝硬変症に際して上部小腸に発生することがある.
 最後に,近年わが国において多発し,難病として社会的に注目されるベーチェット病において,消化管をおかすIntestinal Behcetといわれる型があるので,その1例を提示する.多発性潰瘍をつくり,穿孔をきたし易いので,ベーチェット病の死因の1つにあげられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら